所沢市議会では「申し合わせ」により所属委員会所管の議案について本会議では質疑できないことになっています。この趣旨は、本会議運営の効率性を考慮し、「所管の委員は委員会で質疑できるのだから、本会議では遠慮して」ということだと思います。
一昨日閉会した9月定例会には自治基本条例案が上程されましたが、総務常任委員会に付託され、同委員会所属の私はこの件について本会議で発言できませんでした。ところが、続く委員会審査では、関連する請願の審査もあって、条例案の審査は行わないことになり、この件について私は委員会においても発言できなかったのです。
もちろん、このようなことはほとんどないので「仕方がない」といってしまえばそれまでですが、事実、発言の機会はなく、これは「委員会で質疑できるのだから~」という申し合わせの趣旨に反するのではないかとも思うのです。
地方議会の運営に関する書籍を見ると、例えば、地方議会運営研究会『地方議会運営事典』(ぎょうせい、2002年)には「委員会に付託が予定されているものについては、質疑はあくまで総括的大綱的な質疑にとどめ、詳細は委員会で行うようにすべきである(p.108)」とあり、また、全国町村議会議長会『議員必携』(学陽書房、2003年)では「委員会中心主義をとる議会や委員会に付託する事件については、本会議では重要点又は概要の質疑に止める運用が適当である(p.306)」と、本会議質疑と委員会審査の関係についての言及に止まっており、所管委員の質疑を制限すべきとは書かれていません。要は本市議会が自らの判断でこのような申し合わせを定めて、本会議を運営しているのです。
ところで、本市議会は昨年2月に所沢市議会基本条例を制定しました。同条例には「議員相互の『自由闊達』な議論を展開しながら、市政の論点を明らかにして、政策立案及び提言を積極的に行っていかなければならない(前文)」「(議会は)『自由闊達』な討議を行い、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするよう努めること(第3条第3号)」とあります。この「自由闊達」とは「何事にも束縛されず、のびのび思い通りにやること」「心が広くのびのびとして物事にこだわらないさま」という意味のようですが、今回のできごととこれら「自由闊達」を強調する条文を照らし合わせて考えると、議会基本条例に即した議会運営にはまだまだ改善点が多々あるような気がします。
もちろん、今回のことはあくまでも一例に過ぎませんが、今後、このような課題を含め、会議規則や「申し合わせ」の全体的見直しを議会運営の詳細について検討・決定を行う議会運営委員会に提起していければと思います。
もっとも、その他の懸案事項も目白押しの委員会ですから、議論の俎上に上るまでかなり時間がかかるとは思いますが。