市が所有する自治会集会所用地の貸付料について【平成25年9月定例会 一般質問より】

9月定例会で行った一般質問の内容を順次お知らせします。まずは、市が所有する自治会集会所用地の貸付料についてです。

現在、市内には281の自治会・町内会があり、137の集会所を使用して活動しています。これらの集会所が建っている土地の所有者の状況は、27施設が自治会、45施設が市、65施設が民間他となっています。

自治会や民間が所有する集会所用地については所沢市固定資産税・都市計画税減免取扱基準により、固定資産税・都市計画税が免除されている一方で、市有地については所沢市普通財産貸付基準に基づき、固定資産税課税標準額を用いた貸付料が徴収されています。

市有地の貸付料平均額は年268,854円となっており、自治会によって加入世帯数や年会費が異なり、また、集会所用地の面積も様々であることから一概にはいえませんが、決して潤沢な予算で運営されているとはいえない自治会にとって、この貸付料の支払は重い負担となっています。ちなみに貸付料の最高額は緑町町会の年586,848円とのことです。

質問では、自治会のおかれている近年の厳しい状況を確認しつつ、土地所有者の違いに由来する集会所維持にかかる費用の不均衡解消や、貸付料が固定資産税を基準に設定されていることについての疑問を訴えました。

土地所有者がどうであれ、集会所を使用して自治会が行なっている活動にそう変わりはなく、上述の減免取扱基準の示すとおり「住民の福祉の向上に資する」ことを行なっているはずです。それにもかかわらず、自治会や民間が所有する集会所用地については固定資産税・都市計画税が免除される一方で、市有地については貸付料が徴収されているのです。この状況は改められなくてはなりません。率直にいって、固定資産税・都市計画税を免除することができるなら、市有地の貸付料も免除すべき(少なくとも現状より引き下げるべき)と考えます。

また、貸付料が固定資産税を基準に設定されていることにも疑問が残ります。固定資産税はその資産に価値を認めて課する税ですが、自治会活動という現状の用途と集会所用地の資産価値は直接関係がないと考えられますし、繰り返しになりますが、資産価値の高い土地であれ低い土地であれ、それらの土地を用いて行なっている自治会活動にそう違いはないからです。

質問の答弁では、市長から「深く検討する」との発言がありました。

現在、市は、自治会加入率低下という現状をふまえ、自治会をバックアップするための条例制定を検討しており、貸付料の免除・引き下げもこうした姿勢と合致すると考えます。早急な改善が求められます。

公共施設が「空き家」状態?――施設跡地の有効活用について

前回に続き、公有財産の有効活用についての質問の残りの部分「施設跡地の有効活用について」まとめておきたいと思います。

施設跡地の有効活用について

近年、施設の廃止や移転が相次いでいます。たとえば、平成18年に軽費老人ホーム松の郷が廃止、21年に第二学校給食センター、22年には文化会館、23年に所沢幼稚園、本年は所沢浄化センターが廃止となり、松原学園が第二学校給食センター跡地の一部に移転しました。 いわゆる民間の空き家については、平成22年10月に空き家等の適正管理に関する条例を施行して規制を行なっていますが、いわば公共施設が「空き家」状態になってしまっています。 現在、それぞれの施設跡地は以下のように使用されています。

  • 軽費老人ホーム松の郷 → ケアホーム用地、資材置き場
  • 第2学校給食センター → 一部、防災倉庫として使用
  • 文化会館 → 駐車場のみ使用(建物は耐震性に問題あり)
  • 浄化センター → 一部、し尿処理施設の衛生センターとして使用
  • 所沢幼稚園、松原学園 → 現在不使用

市では、施設の廃止にあたっては、その施設を所管する部署が判断し、現存する施設が使用に耐える場合は他の部署に利用希望の調査を行うことになっており、使用に耐えない場合には、原則、解体することになっています。しかし、こうした状況をみると、ある施設が廃止された場合、その施設跡地が有効に活用されているとは思えません。実際に使用されている施設の場合であっても、目的があって施設を使用しているというより、「場所があるから使っている」「目的と手段が逆転してしまっている」という印象が否めません。

市財産規則では、所有する財産の適性使用に留意して管理を行うこと[10条]や、使用状況が適性でない場合には、必要な措置を講じて、その結果を管財課長に報告することを義務づけています[10条の2]が、所沢幼稚園や松原学園の跡地など、現に使用されていない施設の使用状況についても「日常の維持管理は所管にて行なっており、適正に管理されているものと認識している(財務部長答弁)」とのことであり、これらの条文は事実上機能していないようです。また、たとえば名古屋市では3年以内に用途の廃止・変更が予定されている施設や、廃止・変更が3年以上先であっても近いうちに廃止・変更が予定されているものについて、管財課による財産調査が行われていますが、本市ではこのような調査も行っていません。だから施設跡地が有効活用されずに放置されてしまうのです。

現実には厳しい財政事情から施設の修繕・解体にかかる費用の捻出に苦慮している状況があるとは思いますが、問題を将来へ先送りするのではなく、施設廃止に係る財産調査の実施など、現下の経済状況に合わせた財産活用の仕組みを創設すべきです。

施設の解体費用は借金で賄うべきではない

この質問を通じて訴えたかったことのもう一つは、廃止施設の解体費用は借金で賄うべきではないということです。

当然のことですが、施設の解体すなわち原状回復にかかる費用は、当該施設を使用した者が負担すべきであり、将来世代への転嫁は許されません。

質問では、こうした観点から、現在、施設の修繕に用いられている施設整備基金の解体費用への活用や、解体費用をストックしておく基金の創設を提案しました。

財務部長の答弁は「新たな基金の設置ついては財源的に難しいが、施設整備基金の活用については関係部署と協議してみたい」とのことでした。

いずれにしても、施設解体にかかる費用を安易に借金で賄うことがないよう、今後とも注視していきたいと思います。

第2市民ギャラリーと設置条例の必要性について

13日、久しぶりの一般質問を行いました。22年5月からは議長職にあったため、改選後初、1年9ヶ月ぶり、藤本市長就任後初の質問となりました。

今回は、

  • 公有財産の有効活用について
  • 通称「アカバッケ」の安全性について
  • 市長のいう「絆」について

の3点について市の見解を質しました。

まずは「公有財産の有効活用について」です。

この質問は、

  • 第2市民ギャラリーについて
  • 設置条例の必要性について
  • 施設跡地の有効活用について

の大きく3つにわかれますので、それぞれについてまとめてみたいと思います。

第2市民ギャラリーについて

所沢駅東口前の一等地に第2市民ギャラリーという施設があります。10年前、本庁舎の市民ギャラリーを補完する施設として所沢駅東口の旧区画整理事務所を改修して設置されました。選挙時の期日前投票所としての印象も強い同施設ですが、基本的には芸術文化活動や生涯学習活動に関する催しに使用できる施設であり、地元町内会からの要望を受け、平成21年1月より自治会等の地域集会にも使用できることになっています。しかし、この施設の稼働率はその立地に反比例して芳しくありません。平成20年度は10.8%、21年度は11.7%、22年度は32%、昨年度は45%と、上昇傾向にはあるものの、今ひとつの状態が続いています。

こうした状態となってしまっている原因は、市がこの施設(財産)の活用方法を曖昧にしたまま管理・運営を行ってきたことによると私は考えています。

事実、市の個別事業を評価する事務事業評価の評価理由は「平成○○年度から開始し、○年が経過した事業であるが引き続きPR活動に努めていく。しかし、稼働率の現実を踏まえ今後の利用方法等についても引き続き検討を進めていく」と毎年同じであり、根拠法令の記載欄は数年間記載ミスのままでした。さらに、自治体の所有する財産は、法令上、行政財産と普通財産に分類され(※1)、昭和55年6月23日の広島高裁判決(※2)の通り、市の内部基準ではなく実際の使用状況によって分類しなければならないのですが、第2市民ギャラリーは普通財産となっており、さらに、設置および管理の根拠となる条例(設置条例)も整備されていません(※3)。こうした状況が10年も続いているのです。

第2市民ギャラリーを所管する財務部長の答弁は「第2市民ギャラリー用地の将来の活用方法が決まるまで、結果として10年間の暫定利用が続いてしまった。老朽化も進んでおり、改めて施設のあり方について検討する時期にきている。(設置条例の必要性については、)この検討を踏まえた上で考えていく」というものでした。

これからも当分の間、現状の暫定利用が続くのであれば、法律上、第2市民ギャラリーを行政財産とした上で、同施設の設置条例の制定が少なくとも必要とされるはずです。

第2市民ギャラリーについては、存廃も含めた今後のあり方を検討し、その結果を踏まえた早急な改善策が求められます。

※1 自治体の所有する財産は、行政財産と普通財産に分類されます。行政財産とは、自治体が直接事務の執行に用いるもの(庁舎など)や、一般利用に供するもの(公園、道路、図書館、学校など)であり、普通財産とは、行政財産以外のもの(売り払い用の土地、使用目的の定まっていない施設跡地など)をいいます[地方自治法238条]。

※2 「公有財産が行政財産と普通財産のいずれに分類されるかは専らその用途によって決せられ、普通地方公共団体が内部処理として如何なる分類をしているかは関係ない」(昭和55年6月23日広島高裁判決)。

※3 自治体は、住民福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設を設けることができ、その設置・管理については条例で定めなければなりません[地方自治法244条、244条の2]。市が設置した立体遊歩道について、その設置および管理に関する事項は条例で定めなければならないとされた判例(平成14年11月26日広島地裁判決)もあります。

設置条例の必要性について

※3の注釈の通り、一般利用を予定している自治体の施設の設置・管理については条例に拠らなければなりません。条例を制定することにより、「(施設の設置目的に)違反するような恣意的な使用制限を排除して、住民の使用についての便宜を与えるとともに、その利用が不当に害されることがないよう(先述の広島地裁判決)」にしなければならないからです。

しかし、第2市民ギャラリー以外にも設置条例が存在しない施設が数多くあります。たとえば、市内各地にある学童クラブ、柳瀬・中富・山口の民族資料館、秋津駅第1自転車駐車場、西武球場前第1自転車駐車場、老人簡易集会施設わかば、小手指市民ギャラリーなどです。

それぞれ、施設設置当初に様々な経緯があってのこととは推察されますが、住民の利用関係を安定させ、施設のもつ本来のパフォーマンスを発揮させるためにも設置条例が必要であると考えます。

理屈っぽい文章がだいぶ長くなってしまったので、「施設跡地の有効活用について」は次回にまとめたいと思います。