COOL JAPAN FOREST構想の検討状況は?【地方創生に関する特別委員会その1】

COOL JAPAN FOREST 構想とは、株式会社KADOKAWAが旧所沢浄化センター跡地(東所沢和田)に建設を予定している施設(*1)を中心に、東所沢地域のまちづくりを進め、所沢の魅力である「みどりと文化」を活かしつつ、同社の情報発信力や企画力によって多くの人を呼び込み、地域活性化や産業振興につなげようとするもので、同社と所沢市との共同事業として進めているものです。

市議会は、2月9日、同構想の調査・研究を所管する地方創生に関する特別委員会を開き、現在の状況について担当課に説明を求めました。委員会では以下のことが明らかになりました。

  • 本年度中に構想の企画案を策定する予定
  • 株式会社KADOKAWAが行う施設建設については、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合う完成を目指しており、平成29年に工事を開始し、平成31年に竣工する予定
  • 所沢市の対応としては、施設の完成にあわせて周辺交通環境の整備等を進め、完成後は同施設を活用した連携事業や広域的な観光連携等に取り組む
  • 構想の推進体制は、藤本正人所沢市長と角川歴彦株式会社KADOKAWA取締役会長がジェネラルプロデューサーとして構想全体の統括役となり、幅広い分野で活躍されている9名(*2)がアドバイザリーボードとして、構想の方向性や事業コンセプトに助言を行う
  • アドバイザリーボード会議では、主に図書館、美術館、博物館の融合施設である文化コンプレックスのコンセプト等について議論され、施設の機能やデザイン、内部空間のコンセプト等については、概ね了承されている
  • 株式会社KADOKAWAの事業担当者と所沢市の担当者で構成する推進会議TEAM STARTには、
    • 文化コンプレックスの規模を拡大した場合の容積率等の規制緩和の可能性
    • 東所沢駅前までの沿道について一体的なイメージでの街並み整備
    • コンポストセンター跡地へのバス停や駐車場の設置
    • 東川河岸の親水公園としての整備
    • 道路標識等への外国語表記の設置
    • 構造改革特区制度を活用したIT産業特区化の推進
    • 施設内への出張所や郵便局の設置
    • 図書館・美術館・博物館の公共運営化
    • 衛生センターの敷地の一部を活用した自由に通行できる「緑道」の整備

等が提案されており、それぞれの案について関係法令との整合性や本市施策としての有効性・実現可能性について検討を行っているとのことです。

年間200万人の来客数を見込む施設であり、今後の東所沢地域のまちづくりに大きな影響を与える構想です。大いなる期待をもつと同時に、関連施策への税金投入にはその有効性を判断しながら慎重に対応していきたいと考えています。

(*1) 書籍に関する製造・物流施設と図書館・美術館・博物館の融合施設(文化コンプレックス)のほか、ホテルや会議場、インターネットを活用したスクール等も計画されています。

(*2) 荒俣宏氏(作家)、隈研吾氏(建築家)、南條史生氏(森美術館館長)、松岡正剛氏(編集工学研究所所長)、後藤高志氏(株式会社西武ホールディングス代表取締役社長)、増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)、山本マーク豪氏(コンティニューム株式会社代表取締役)、中川雅寛氏(株式会社乃村工藝社取締役)、川上量生氏(カドカワ株式会社代表取締役社長)の9名。

議会基本条例は制定したけど……。

所沢市議会では「申し合わせ」により所属委員会所管の議案について本会議では質疑できないことになっています。この趣旨は、本会議運営の効率性を考慮し、「所管の委員は委員会で質疑できるのだから、本会議では遠慮して」ということだと思います。

一昨日閉会した9月定例会には自治基本条例案が上程されましたが、総務常任委員会に付託され、同委員会所属の私はこの件について本会議で発言できませんでした。ところが、続く委員会審査では、関連する請願の審査もあって、条例案の審査は行わないことになり、この件について私は委員会においても発言できなかったのです。

もちろん、このようなことはほとんどないので「仕方がない」といってしまえばそれまでですが、事実、発言の機会はなく、これは「委員会で質疑できるのだから~」という申し合わせの趣旨に反するのではないかとも思うのです。

地方議会の運営に関する書籍を見ると、例えば、地方議会運営研究会『地方議会運営事典』(ぎょうせい、2002年)には「委員会に付託が予定されているものについては、質疑はあくまで総括的大綱的な質疑にとどめ、詳細は委員会で行うようにすべきである(p.108)」とあり、また、全国町村議会議長会『議員必携』(学陽書房、2003年)では「委員会中心主義をとる議会や委員会に付託する事件については、本会議では重要点又は概要の質疑に止める運用が適当である(p.306)」と、本会議質疑と委員会審査の関係についての言及に止まっており、所管委員の質疑を制限すべきとは書かれていません。要は本市議会が自らの判断でこのような申し合わせを定めて、本会議を運営しているのです。

ところで、本市議会は昨年2月に所沢市議会基本条例を制定しました。同条例には「議員相互の『自由闊達』な議論を展開しながら、市政の論点を明らかにして、政策立案及び提言を積極的に行っていかなければならない(前文)」「(議会は)『自由闊達』な討議を行い、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするよう努めること(第3条第3号)」とあります。この「自由闊達」とは「何事にも束縛されず、のびのび思い通りにやること」「心が広くのびのびとして物事にこだわらないさま」という意味のようですが、今回のできごととこれら「自由闊達」を強調する条文を照らし合わせて考えると、議会基本条例に即した議会運営にはまだまだ改善点が多々あるような気がします。

もちろん、今回のことはあくまでも一例に過ぎませんが、今後、このような課題を含め、会議規則や「申し合わせ」の全体的見直しを議会運営の詳細について検討・決定を行う議会運営委員会に提起していければと思います。

もっとも、その他の懸案事項も目白押しの委員会ですから、議論の俎上に上るまでかなり時間がかかるとは思いますが。

包括外部監査制度導入条例を可決 総務常任委員会で

20日、総務常任委員会にて3月定例会より継続審査となっていた包括外部監査制度導入のための条例が付帯決議つきの全会一致で可決されました。

定例会中の委員会審査はもちろん、閉会中の2回の審査と、既に外部監査制度を導入している八王子市への視察を経ての可決です。

可決までの間、私は委員会の決定と同様、一貫して継続審査を主張してきました。

包括外部監査制度とは、現状の監査委員監査とはべつに、市長が弁護士や公認会計士などの専門家から監査人を指定し、議会の議決を経た後、監査人が自らの判断で毎年一つ以上のテーマを設定して監査を行うというものです。一見、外部の専門家による監査を受けることは良いことではないかと思うのですが、この議案には3月定例会での委員会審査時からずっとある種の違和感を感じていました。この違和感を自分のなかで概念化するまでかなり時間がかかってしまったのですが、要は、執行部の提案した外部監査制度は「住民に開かれていない」ものとなっていることが私の抱えていた違和感の根源にあったようです。

自治体の外部監査制度には上述の包括外部監査と住民や議会、首長が特定のテーマを定めて外部に監査を要求することができる個別外部監査があります。

参考:函館市ホームページ「外部監査制度」

しかし、今回の条例案には個別外部監査の規定はありませんでした。

包括外部監査制度の導入目的は「財務執行に係る透明性の強化(議案書提案理由より)」を図り、行財政改革を推進することにあると思うのですが、この目的に対して、最も力を発揮し、その結果に最も影響を受ける、公共サービスの受益者であると同時に負担者である住民の関与や視点がないのです。法的には個別外部監査という住民参加可能な制度が準備されているにもかかわらずです。

「個別外部監査まで導入すると、これに要する事務量に対して組織が追いつかない」「全国的にも個別外部監査を行った事例は少ない」などといったことが今回、個別外部監査を導入しなかった主な理由のようですが、外部監査を導入している自治体のほとんどは包括外部監査・個別外部監査のセットあるいは個別外部監査のみの導入となっています。本市のように包括外部監査のみを導入している自治体はごく少数です。

参考:全国都市監査委員会ホームページ「外部監査制度導入都市一覧」

もちろん、弁護士や公認会計士などの専門家の力を借りなくては解決が難しい課題はあると思います。しかし、同じく住民も地域の専門家であるはずです。だから、補完性・近接性の原則や、自己決定・自己責任、直接請求という原理や制度があり、「地域のことは地域を一番よく知る住民が~」ということがいわれるのだと思うのです。

私は、財務執行の透明化の強化や行財政改革において、この住民の関与や視点を利用しないのは非常にもったいないですし、制度としては不完全という印象が否めませんでした。

ということで、委員会では村上委員と私が発議者になり、包括外部監査導入の有効性を認めつつも、「条例公布後は個別外部監査を導入すること」という付帯決議を提案し、議案とともに全会一致で可決となった次第です。

そもそも自治体の主権者は住民です。かつ、国政とは異なり、地方自治には、法制度上、多くの直接民主主義的手段が用意されているのです。専門家の力を借りることも時には必要ですが、自治体は住民のものであり、主体的な住民の行動によって変化(改革)していく。団体自治だけでなく住民自治の強化が叫ばれている現在だからこそ、この視点を大切にしたいと思うのです。