水害対策について〔令和4年第3回(9月)定例会 一般質問 その1〕

昨今、国内のみならず、パキスタンをはじめ世界各地で洪水が起きており、水害に対する市民の関心が高い。こうしたなか、先般、改定された洪水ハザードマップが各家庭に配布され、図らずも、結果的にタイムリーな施策となった。

質問では、このハザードマップに関して確認しておきたいことや、水害発生後の対応、本郷・下安松・東所沢和田の境界にある大きな傾斜地(通称:「アカバッケ」)の現状と安全性等についてとりあげた。


〔中村とおる〕
本年改定された洪水ハザードマップが各家庭に配布されたが、この施策の狙いと市民からの反響について伺う。

〔建設部長〕
令和2年5月、県において想定し得る最大規模の降雨によって河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を示した洪水浸水想定区域等が公表され、これにともない、水防法に基づいて必要な措置を講じるため、洪水ハザードマップを更新した。施策の目的は、ハザードマップを全世帯に配布することにより、自宅や周辺の災害リスクを市民に認識していただき、災害時、命を守る行動につなげていただくことにある。配布直後より30件程度の問い合わせがあり、災害に対する意識を高めていただいている。主な問い合わせの内容は、自宅が浸水想定区域内に入っているかどうか等だ。

〔中村とおる〕
水害発生時、速やかに避難するためには、日頃からの備えと、テレビやインターネット等を通じて発表される気象情報や河川の水位情報を収集し、これから起こりうる災害を予測することが大切だ。さて、ハザードマップには本市の発令する3段階の避難情報が掲載されている。「高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保」というものだが、これらの避難情報はどのように発令されるのか。発令基準はあるのか。

〔危機管理監〕
避難情報は様々な気象情報をもとに発令を決定している。発令基準を数値化することは困難だが、その必要性については認識しており、過去の実績値や他市の状況について情報を収集しており、協議を進めている。

〔中村とおる〕
水害が発生し、安全に避難できたものの、不幸にも自宅が浸水被害にあった場合、使えなくなった家財道具の処分等、「あとかたづけ」を行わなくてはならない。高齢者世帯や近隣に頼れる人がいない単身者は大変苦労すると思うが、水害が落ち着いた後の市役所の対応、とりわけ、こうした方々への対応について説明いただきたい。

〔危機管理監〕
被害状況やニーズ等を確認し、状況により関係団体に対応を依頼する。基本的には近隣住民の協力等で行なっていただくが、被害が大規模であれば、社会福祉協議会が立ち上げたボランティアセンターに対応をお願いすることになる。

〔中村とおる〕
本市に水害をもたらす要因は、河川の洪水以外にも内水氾濫や土砂災害が考えられる。どのように対応しているのか。

〔危機管理監〕
内水氾濫については市内8ヶ所に土のうステーションを設置する等、必要に応じて市民が土のうを利用できるように対応している。土砂災害については警戒区域に含まれる約200世帯に土砂災害ハザードマップの配布及び避難場所を通知している。また、避難情報発令時には当該地域に防災行政無線を使用して避難の呼びかけを行う。

〔中村とおる〕
ちょうど10年前にも質問したが、本郷、下安松、東所沢和田の境界付近の柳瀬川沿いに「アカバッケ」と呼ばれる傾斜地がある。柳瀬川沿いのかなり大きな傾斜地で、近くにお住まいの方々は「傾斜地が崩落し、川をせき止め、氾濫させてしまうのではないか」と心配している。同傾斜地の現状と安全性について伺う。

〔危機管理監〕
「アカバッケ」については、大雨や台風時、必要に応じてパトロールを実施している。当該傾斜地には土砂災害警戒区域(※1)及び土砂災害特別警戒区域(※2)が混在しており、県によれば、急傾斜地が崩落した場合、柳瀬川に土砂の流出の可能性があるとのことだ。現在、県では崖地の保護を行うため、土地の境界確認等を進めている。市としても引き続き対策を要望していく。

※1 土砂災害防止法に基づき指定された区域で、土砂災害が発生した場合「住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域」のこと。

※2 土砂災害警戒区域のなかでも、土砂災害が発生した場合「建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域」のこと。

やっと改善か⁉︎ パブリックコメント手続について〔令和4年第2回(6月)定例会 一般質問 その2〕

パブリックコメント手続の改善については平成29年から機会あるごとに質問している(たとえば、ここ)。

改善提案は次の4つだ。

  1. 明確にパブリックコメントの対象とならない案件以外は全てパブリックコメントに付すべき
  2. 手続の適用除外となった案件は、除外となった理由とともに公表すべき
  3. 国の行政手続法等と同様に、規則や処分基準、審査基準、行政指導指針等も対象とすべき
  4. 多くの自治体と同様に、意見等提出期間を14日以上から30日に改めるべき

ということだ。どの点も国及び多くの他自治体ですでに実施されていることであり、決して難易度の高いことを要求しているわけではないのだが、本市の改善の進捗は思わしくない。本市だけができない理由があるのだろうか……。

といっても、たびたび質問にとり上げてきた成果だと思うが、運用面では多少の改善が図られ、1つめ、2つめについては、適用除外となった件名とその理由を市ホームページで公表するようになったし、4つめについても意見等提出期間が従前は平均17日程度であったものが、近年では21日程度となっているようだ。

しかし、3つめは全くの手つかず。多くの自治体でパブリックコメントに付された上で実施されているパートナーシップ・ファミリーシップ届出制度についても同手続が実施されることはなかった。

まだまだ課題の多い本市の制度だが、今回は4つ目の意見等提出期間に絞って質問を行った。


中村とおる:昨年の12月定例会でも質問したが、現在、要綱上に記載されている意見等提出期間の「14日以上」の14日には、過去の答弁の通り、「明確な根拠がない」。他自治体並みの30日に改めるべきと考えるがどうか。

経営企画部長:パブリックコメント手続実施要綱の改正事務を進めている。

ごみ集積所に関するトラブルについて〔令和4年第2回(6月)定例会 一般質問 その1〕

議会報告会にご参加いただいた方からのご意見をもとに行った質問だ。

ごみ集積所に関するトラブルには様々なケース(たとえば、ここが詳しい)があり、「相談」とまではいかなくとも、時折、耳にすることがある。これらのうち、今回は「既存のごみ集積所を使えない、使わせてもらえない」ケースをとりあげた。

質問では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)上、家庭ごみの収集・運搬・処分は市町村の義務であることをまず確認し、現状の取り組みを質した。

この内容が市議会だよりに掲載されたのち、市民から数件ご連絡をいただいた。下述の通り、表に出るトラブル件数は少ないが、実際には多くの方がこうしたことに悩んでいると思われる。行政にはしっかりと対応いただきたい。


中村とおる:廃掃法において、家庭から排出されるごみの収集・運搬・処分は誰が行うこととなっているのか確認させていただきたい。

環境クリーン部長:廃掃法第6条の2の規定に基づき、市町村が行うものとなっている。

中村とおる:廃掃法においてごみ集積所の設置・管理はどのように規定されているのか。

環境クリーン部長:土地又は建物の占有者には市町村が行うごみの収集・運搬・処分への協力義務があるが、ごみ集積所の設置・管理についての規定はとくにない。なお、本市では「所沢市ごみ集積所設置基準」を定めて対応している。

中村とおる:ごみ集積所の設置・管理の実態について教えていただきたい。

環境クリーン部長:原則、集積所の利用者が自ら設置し、管理しているほか、分譲住宅やマンションを建設する不動産会社等が設置し、管理会社が維持管理を行なっている場合もある。

中村とおる:ごみ集積所に関するトラブルだが、市が把握している件数と内容について教えていただきたい。

環境クリーン部長:昨年度は21件だ。内容はごみ集積所が設置されていた土地が売却されたことによる移設先に関することや、引越しされてきた方から利用できる集積所に関すること、戸建住宅で今まで利用していたアパートの集積所が管理会社の変更により利用できなくなった等だ。

中村とおる:「既存のごみ集積所が使えない、使わせてもらえない」といった内容のトラブルはどのくらいあるのか。

環境クリーン部長:21件のうち5件だ。

中村とおる:過日開催された議会報告会で参加された方から次のようなご相談があった。「昨年、市内の戸建に引っ越した。引っ越しの挨拶の際、自治会の班長から、私道沿いのゴミは収集してもらえず、公道沿いの収集班に入れてもらわなくてはならないのだが、近くの班にはもう入れない。500mほど離れた班なら入ることができるかもしれないが、その班のメンバー全員の許可を取ってくれ。うちの隣の方は道路を渡って違う町内まで捨てに行っていると聞かされた。驚いて収集管理事務所に問い合わせると、『以前の居住者が捨てていた場所に捨ててもよい』と言われ、そのようにしていたが、半年ほど経ったある日、近所の方々4人に囲まれ、あれこれ言われてしまった。このことを機に市内の友人などにも話を聞いたところ、収集にまつわるトラブルが多いことに改めて驚かされた。集積所の掃除当番もトラブルの原因で、家庭の事情で掃除ができなくなったとメンバーに告げた途端、もうここには捨てるなと言われ、怖くて毎回クリーンセンターまで捨てに行っているという方もいる。トラブル回避のために戸別収集の実施を提案したが、お金がかかるので無理、収集事務所でお答えできるのはここまで」とのことだ。改めてお聞きするが、こうしたトラブルがあった際、どのような対応をしているのか。

環境クリーン部長:基本的には利用者間での話し合いによる調整をお願いしているが、解決が難しい場合には、職員が調整に入り、現地確認等を行いながら解決に向けて対応を図っている。

中村とおる:所沢市ごみ集積所設置基準には以下の記述がある。

  • ア 新規設置は、『原則として』6戸以上とする。
  • イ 6戸未満の場合、既存のごみ集積所の共同使用を基本とし、共同使用の承諾が得られない場合に限り、収集管理事務所と協議の上、ごみ集積所を設置することができる。
  • ウ ア又はイにより、設置する場合は、ごみ集積所の専用用地を確保すること。
  • エ ごみ集積所の設置が困難な場合又は近隣のごみ集積所の共同使用が困難な場合等は、自己での処分(各クリーンセンターへの自己搬入等)について考慮すること。
  • オ 設置に当たっては必ず利用者以外の近隣住民等の承諾を得ること。

収集管理事務所との協議は必要となるが、この規定は戸別での集積所の設置を必ずしも排除しないという趣旨か。

環境クリーン部長:ごみ集積所の設置は、原則として6戸から申請を受付けている。6戸未満の場合も、地域の状況等を踏まえて柔軟な対応をしているが、収集業務の効率性や市全体の公平性の観点から1戸でのごみ集積所の設置申請は受付けていない。

中村とおる:市民には集積所にごみを捨てる権利があるのか。また、ごみを捨てさせない権利があるのか。

環境クリーン部長:市民にもともと集積所にごみを捨てる権利や、捨てさせない権利というようなものがあるものではないと考えている。集積所は、原則、利用者の方々が設置し、維持管理を行うものとしており、適切な利用がなされる必要があるものと考える。

中村とおる:市民にはごみを捨てる権利があると考える。ごみを捨てることができないと、健康で文化的な最低限度の生活が営めないからだ。一方、ごみを捨てさせない権利もある。なぜなら、集積所のほとんどは私有地にあるからだ。ごみ集積所に関するトラブルはこれら権利同士の対立だ。

上述の通り、ごみ収集は市の義務であり、市民は市の役務(行政サービス)の提供をひとしく受ける権利を有している(※1)。だから、これら権利同士が対立した際には最後まで調整しなくてはならないし、それができない場合には、市で集積所を設置することや戸別収集を行うべきだ。ごみ集積所設置基準は「原則6戸以上」としているが、「原則」がついていて、文言上、1戸でのゴミ集積所の設置を排除していないのはこうした理由からだと考える。
 
相談者の話のなかで、毎回クリーンセンターまで捨てに行く方の話があった。この方は1年間に何回クリーンセンターに行かなければならないのか。週2回捨てに行くとして、年間100回以上、雨の日も風の日も行かなくてはいけない。車を運転できない人はどうするのか。市民がこうした状況にならないように対応いただきたい。

相談者からは、「せめて市で集積所の指定ぐらいはできないか」との意見があったがどうか。

環境クリーン部長:市から利用するごみ集積所を指定することは行っていないが、利用に関して相談があった場合には付近の集積所や管理者を紹介する等、相談者に寄り添いながら解決に向けて対応している。

中村とおる:ごみ集積所に関するトラブルを未然に防止するために、広報や市ホームページ、「わけトコっ!」(※2)、集積所看板等で周知の工夫はできないか。

環境クリーン部長:研究していく。

わけトコっ!画像

一般質問の後、ごみ集積所に関するトラブルについて、相談を促す画像が「わけトコっ!」に掲載された。


※1 地方自治法第10条第2項

※2 収集カレンダーやごみ分別事典、ごみの出し方がわかる所沢市公式アプリ