東所沢駅近くの市有地について【令和4年第1回(3月)定例会 質疑及び一般質問(その4)】

東所沢駅から100mほど南に進んだ場所にある市有地の利用については、平成29年9月定例会、令和元年6月定例会でも質問を行っている。(当該土地の詳細は、ここをご覧いただきたい。)当該土地は、令和2年10月より、シェアサイクル実証実験にともなうサイクルポート設置のため、産業経済部が管理することとなり、現在、一部がサイクリングステーションとして使用されている。


中村とおる:先に質問を行った令和元年6月定例会以降の利用状況について教えていただきたい。

産業経済部長:当該土地は令和2年11月30日よりサイクルステーションとして利用している。25台のラックが設置されており、市内でもっとも多い、のべ2,400回以上の利用となっている。

中村とおる:サイクルステーション以外の利用はどうか。

産業経済部長:産業経済部が所管となって以降、他の利用はない。

中村とおる:産業経済部が所管となる以前の利用はどうか。

財務部長:把握していない。

中村とおる:当該地について、先般の財務部長答弁は「売却を含め、歳入確保のために利活用することも大事だが、恵まれた立地であり、ところざわサクラタウンや観光情報物産館の開業を控えており、今後の状況の変化に対応した利活用について検討したい。貸し付けについては、原状回復が簡易で、期間を定められるものであれば、実施可能」というものだった。その後の検討はどうか。

産業経済部長:サイクルステーションの他、地元商店街やJR等と協働したマルシェの実施等、新たな賑わい拠点としての活用も検討してきたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、利用実績はない。今後も、地域や東所沢商店組合、所沢市観光・情報物産館YOT-TOKO等と利用方法について検討する。

中村とおる:利活用に関して結論を出したことは評価するが、立地の良さという利点を享受しつつ、継続的かつ日常的に当該土地を活用するためには、上下水道やトイレ、搬入路の確保等が必要となってくると考えるが、今後どうするのか。

産業経済部長:サイクルステーションの他、「東所沢エリアの賑わいを創出する場所」として活用したい。地域の皆さまや一緒に利活用していく皆さまのご意見・ご協力をいただきながら、必要な設備等も含め、より良い活用方法について検討していく。

COOL JAPAN FOREST構想の検討状況は?【地方創生に関する特別委員会その1】

COOL JAPAN FOREST 構想とは、株式会社KADOKAWAが旧所沢浄化センター跡地(東所沢和田)に建設を予定している施設(*1)を中心に、東所沢地域のまちづくりを進め、所沢の魅力である「みどりと文化」を活かしつつ、同社の情報発信力や企画力によって多くの人を呼び込み、地域活性化や産業振興につなげようとするもので、同社と所沢市との共同事業として進めているものです。

市議会は、2月9日、同構想の調査・研究を所管する地方創生に関する特別委員会を開き、現在の状況について担当課に説明を求めました。委員会では以下のことが明らかになりました。

  • 本年度中に構想の企画案を策定する予定
  • 株式会社KADOKAWAが行う施設建設については、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合う完成を目指しており、平成29年に工事を開始し、平成31年に竣工する予定
  • 所沢市の対応としては、施設の完成にあわせて周辺交通環境の整備等を進め、完成後は同施設を活用した連携事業や広域的な観光連携等に取り組む
  • 構想の推進体制は、藤本正人所沢市長と角川歴彦株式会社KADOKAWA取締役会長がジェネラルプロデューサーとして構想全体の統括役となり、幅広い分野で活躍されている9名(*2)がアドバイザリーボードとして、構想の方向性や事業コンセプトに助言を行う
  • アドバイザリーボード会議では、主に図書館、美術館、博物館の融合施設である文化コンプレックスのコンセプト等について議論され、施設の機能やデザイン、内部空間のコンセプト等については、概ね了承されている
  • 株式会社KADOKAWAの事業担当者と所沢市の担当者で構成する推進会議TEAM STARTには、
    • 文化コンプレックスの規模を拡大した場合の容積率等の規制緩和の可能性
    • 東所沢駅前までの沿道について一体的なイメージでの街並み整備
    • コンポストセンター跡地へのバス停や駐車場の設置
    • 東川河岸の親水公園としての整備
    • 道路標識等への外国語表記の設置
    • 構造改革特区制度を活用したIT産業特区化の推進
    • 施設内への出張所や郵便局の設置
    • 図書館・美術館・博物館の公共運営化
    • 衛生センターの敷地の一部を活用した自由に通行できる「緑道」の整備

等が提案されており、それぞれの案について関係法令との整合性や本市施策としての有効性・実現可能性について検討を行っているとのことです。

年間200万人の来客数を見込む施設であり、今後の東所沢地域のまちづくりに大きな影響を与える構想です。大いなる期待をもつと同時に、関連施策への税金投入にはその有効性を判断しながら慎重に対応していきたいと考えています。

(*1) 書籍に関する製造・物流施設と図書館・美術館・博物館の融合施設(文化コンプレックス)のほか、ホテルや会議場、インターネットを活用したスクール等も計画されています。

(*2) 荒俣宏氏(作家)、隈研吾氏(建築家)、南條史生氏(森美術館館長)、松岡正剛氏(編集工学研究所所長)、後藤高志氏(株式会社西武ホールディングス代表取締役社長)、増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)、山本マーク豪氏(コンティニューム株式会社代表取締役)、中川雅寛氏(株式会社乃村工藝社取締役)、川上量生氏(カドカワ株式会社代表取締役社長)の9名。

神門善久『日本の食と農 危機の本質』

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)神門善久『日本の食と農 危機の本質』(NTT出版、2006年)

筆者は、地方自治法100条の2(専門的知見の活用)に基づき、所沢の農業について調査してくださった神門善久・明治学院大学教授。

農家に育った筆者の農業への想いも込められた力強い文章からなる本書は「真実の暴露と未来への斬新な提言」(p.14)である。

筆者は、日本農業の問題点を「『売買・貸借を通じて農業生産に長けた者に農地が集まる』という市場経済の競争メカニズムが働いていないこと」(p.132)にあるとし、農家のもつ農地転用による収入増への期待と、これを密かに後押しする政治家、農水省、JA、そして、このことを指摘しない研究者と無関心な市民の構図が優良農地を減少させ、日本の農業を崩壊へと導いていると指摘する。

以下、辛辣な一言をいくつか。

「生産者との顔の見える関係とかいって宅配便を活用したような流通は、実は流通経費を高め、資源の浪費という環境破壊を招いている可能性がある。たとえば、『有機農産物の宅配が健康や環境に気を配る消費者に人気』という類の記事をみると、宅配にかける流通コストがどれほど石油を消費しているかについて『気を配らない』のが不思議である。」(p.21〜22)

「優良農地は、平坦、水利・日照がよく、区画がきれいで、道路にも近いということになる。これは、ショッピング・センター建設や宅地化などの好条件とぴったり符合する。優良農地を持っている農家ほど、転用で高く買ってもらえることへの期待が高まり、農地の有効利用よりもいかにして転用機会を引っ張り込みかに関心がいくことになる。これでは、農業の生産効率が上がるはずがない。」(p.131)

「実は行政がほんとうの大敵ではない。最大の敵は“お客さん”という立場に安住しようとし、責任分担を拒否する市民(農家・非農家を問わず)の甘え(およびそれに同調する研究者とマスコミ)である。」(p.210)

「日本は(というよりもJA、農水省、農経研究者)は、コメ輸入が懸案になるたびに、『食料安保』や国土保全などの「多面的効果」を持ち出して、反対してきた。しかし、それならばなぜ、地権者エゴによって優良農地が虫食い的に転用されているという実態に目を背けるのか? そもそも、食料自給率を上げれば安全が高まるというのは誤解である。戦前の日本は、台湾、朝鮮半島を含めた帝国内での食料自給を誇っていた。しかし、それが食料の安定供給を意味しなかったことは明らかである。あるいは北朝鮮は戦後一貫して食糧自給政策を取り続けてきたが、その顛末も惨憺たるものである。むしろ、食料の安定供給のために重要なのは、安定的で発展的な国際関係を構築することである。日本自体が高所得国であるが、コメ農家は都市住民よりも裕福である。その層の利益を守るためにタイからのコメ輸入を阻止するというのは、まさに先進国のエゴであり、国際関係の発展にも寄与しない。」(p.254)

「心身の健康(個人および社会の)ためには、食の安全・安心で政府を突き上げるよりも、自らの食生活をただす努力のほうが大切である。BSEや残留農薬で神経質なことをいっている消費者が、嗜好食品漬けになっているようでは話にならない。」(p.261)

私も実家が農家であり、私の親族を含めて農業関係者とお話をする機会は多いのだが、本書の指摘するところはきわめて的を射ていると実感する。

農業を取り巻く課題を克服するため、筆者は、「未来への斬新な提言」として、農家・非農家を問わない市民による徹底的な土地利用に関する論議の重要性や、社会保険料の食生活連動制の導入、独立系(非JA)農協の設立、農地転用の問題については、課税評価額の自己申告制や、土地の転用権入札制度を掲げる。

現実的にはなかなか難しいと感じるところも当然あるのだが、示唆に富み、農業政策を見つめるうえでは非常に考えさせられる一冊であった。