昨今、国内のみならず、パキスタンをはじめ世界各地で洪水が起きており、水害に対する市民の関心が高い。こうしたなか、先般、改定された洪水ハザードマップが各家庭に配布され、図らずも、結果的にタイムリーな施策となった。
質問では、このハザードマップに関して確認しておきたいことや、水害発生後の対応、本郷・下安松・東所沢和田の境界にある大きな傾斜地(通称:「アカバッケ」)の現状と安全性等についてとりあげた。
〔中村とおる〕
本年改定された洪水ハザードマップが各家庭に配布されたが、この施策の狙いと市民からの反響について伺う。
〔建設部長〕
令和2年5月、県において想定し得る最大規模の降雨によって河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を示した洪水浸水想定区域等が公表され、これにともない、水防法に基づいて必要な措置を講じるため、洪水ハザードマップを更新した。施策の目的は、ハザードマップを全世帯に配布することにより、自宅や周辺の災害リスクを市民に認識していただき、災害時、命を守る行動につなげていただくことにある。配布直後より30件程度の問い合わせがあり、災害に対する意識を高めていただいている。主な問い合わせの内容は、自宅が浸水想定区域内に入っているかどうか等だ。
〔中村とおる〕
水害発生時、速やかに避難するためには、日頃からの備えと、テレビやインターネット等を通じて発表される気象情報や河川の水位情報を収集し、これから起こりうる災害を予測することが大切だ。さて、ハザードマップには本市の発令する3段階の避難情報が掲載されている。「高齢者等避難・避難指示・緊急安全確保」というものだが、これらの避難情報はどのように発令されるのか。発令基準はあるのか。
〔危機管理監〕
避難情報は様々な気象情報をもとに発令を決定している。発令基準を数値化することは困難だが、その必要性については認識しており、過去の実績値や他市の状況について情報を収集しており、協議を進めている。
〔中村とおる〕
水害が発生し、安全に避難できたものの、不幸にも自宅が浸水被害にあった場合、使えなくなった家財道具の処分等、「あとかたづけ」を行わなくてはならない。高齢者世帯や近隣に頼れる人がいない単身者は大変苦労すると思うが、水害が落ち着いた後の市役所の対応、とりわけ、こうした方々への対応について説明いただきたい。
〔危機管理監〕
被害状況やニーズ等を確認し、状況により関係団体に対応を依頼する。基本的には近隣住民の協力等で行なっていただくが、被害が大規模であれば、社会福祉協議会が立ち上げたボランティアセンターに対応をお願いすることになる。
〔中村とおる〕
本市に水害をもたらす要因は、河川の洪水以外にも内水氾濫や土砂災害が考えられる。どのように対応しているのか。
〔危機管理監〕
内水氾濫については市内8ヶ所に土のうステーションを設置する等、必要に応じて市民が土のうを利用できるように対応している。土砂災害については警戒区域に含まれる約200世帯に土砂災害ハザードマップの配布及び避難場所を通知している。また、避難情報発令時には当該地域に防災行政無線を使用して避難の呼びかけを行う。
〔中村とおる〕
ちょうど10年前にも質問したが、本郷、下安松、東所沢和田の境界付近の柳瀬川沿いに「アカバッケ」と呼ばれる傾斜地がある。柳瀬川沿いのかなり大きな傾斜地で、近くにお住まいの方々は「傾斜地が崩落し、川をせき止め、氾濫させてしまうのではないか」と心配している。同傾斜地の現状と安全性について伺う。
〔危機管理監〕
「アカバッケ」については、大雨や台風時、必要に応じてパトロールを実施している。当該傾斜地には土砂災害警戒区域(※1)及び土砂災害特別警戒区域(※2)が混在しており、県によれば、急傾斜地が崩落した場合、柳瀬川に土砂の流出の可能性があるとのことだ。現在、県では崖地の保護を行うため、土地の境界確認等を進めている。市としても引き続き対策を要望していく。
※1 土砂災害防止法に基づき指定された区域で、土砂災害が発生した場合「住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域」のこと。
※2 土砂災害警戒区域のなかでも、土砂災害が発生した場合「建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域」のこと。