木田元『反哲学入門』

反哲学入門木田元『反哲学入門』(新潮社、2007年)

リラックスしたい時や頭のなかをリセットしたい時、よく読むのが哲学関係の本。というか、哲学関係の本を読むと頭がリラックス、リセットされるといった方が良いのかもしれない。

原書やその翻訳は読み辛く、なかなか手にすることはないのだが、この手の解説本(?)を読むことは結構多い。

著者はハイデガーやフッサールなどの研究者として有名。

プラトン以降ニーチェの登場までの「イデア」や「神」「理性」など超自然的原理を設定して「自然」を見る思考法を「哲学」とし、西欧文化独特の思考法だとする。

これらの思考法に対して、ソクラテス以前の思想家やニーチェ、ニーチェの思考法を部分的に受け継いでいるハイデガーやメルロ=ポンティなど、「自然」に包まれて生き、そのなかで考える「自然的思考」を「反哲学」と称する。

西欧文化の行き詰まりの原因を「超自然的原理」による考え方にあるとして、ソクラテス以前の思想を復権し、西欧文化の危機を打開しようとしたニーチェや、ナチスに近づきながら文化革命を企てたハイデガーに関する逸話などが収められている。

「いや、わたしにしても、こんなことに気がついたのは、ずいぶんたってからです。先生にしても先輩たちにしても、当然デカルトの言う程度の理性はもちあわせているし、プラトンの言うイデアも日ごろ見つけている、カントの「汝なすべし」という「定言命法」も聴いたことがあるという顔をしていますから、そんなもの見たことも聴いたこともないなんて、とても言い出せる雰囲気じゃなかったですね。しかし、そんなふうに普遍的で客観的妥当性をもった認識能力である理性なんて自分のうちにありそうもないし、ましてやイデアだの定言命法だの見たことも聴いたこともないので、うしろめたいことおびただしかったんですが。」(p.37)

79歳にして以上の告白をする筆者。

表紙の帯には「日本人はなぜ欧米人の哲学がわからないのか、その訳がようやくわかった!」と書かれているが、普段の日常とはあまり関係がない(もしかしたら、ものすごく関係があるのかもしれない)、わからないことをぼんやりと考えることがリラックス、リセットにつながっているのかもしれない。

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