山田昌弘『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を切り裂く』(筑摩書房、2004年)
著者は「パラサイト・シングル」という言葉で有名な山田昌弘学芸大教授。
教育・職業・家族が「リスク化」し、中流社会の崩壊がもたらす「二極化」が始まっている日本社会は、「将来に希望がもてる人とそうでない人に分裂していくプロセス」、すなわち「希望格差社会」になっているのではないかと主張しています。
ちょっと前、「モノの豊かさから心の豊かさへ」という言葉が多く聞かれましたが、今本当に問題なのは、経済格差ではなく、本書に書かれているような「希望格差」なのかもしれません。
この問題を解決する方策として、筆者は「リスク化や二極化に耐えうる個人を、公共的支援によって作り出せるかどうかが、今後の日本社会の活性化の鍵となると信じている(p.241)」と述べていますが、私には実効性かつ具体性のある手段がいまいち見えてきませんでした。
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