前回に続き、公有財産の有効活用についての質問の残りの部分「施設跡地の有効活用について」まとめておきたいと思います。
施設跡地の有効活用について
近年、施設の廃止や移転が相次いでいます。たとえば、平成18年に軽費老人ホーム松の郷が廃止、21年に第二学校給食センター、22年には文化会館、23年に所沢幼稚園、本年は所沢浄化センターが廃止となり、松原学園が第二学校給食センター跡地の一部に移転しました。 いわゆる民間の空き家については、平成22年10月に空き家等の適正管理に関する条例を施行して規制を行なっていますが、いわば公共施設が「空き家」状態になってしまっています。 現在、それぞれの施設跡地は以下のように使用されています。
- 軽費老人ホーム松の郷 → ケアホーム用地、資材置き場
- 第2学校給食センター → 一部、防災倉庫として使用
- 文化会館 → 駐車場のみ使用(建物は耐震性に問題あり)
- 浄化センター → 一部、し尿処理施設の衛生センターとして使用
- 所沢幼稚園、松原学園 → 現在不使用
市では、施設の廃止にあたっては、その施設を所管する部署が判断し、現存する施設が使用に耐える場合は他の部署に利用希望の調査を行うことになっており、使用に耐えない場合には、原則、解体することになっています。しかし、こうした状況をみると、ある施設が廃止された場合、その施設跡地が有効に活用されているとは思えません。実際に使用されている施設の場合であっても、目的があって施設を使用しているというより、「場所があるから使っている」「目的と手段が逆転してしまっている」という印象が否めません。
市財産規則では、所有する財産の適性使用に留意して管理を行うこと[10条]や、使用状況が適性でない場合には、必要な措置を講じて、その結果を管財課長に報告することを義務づけています[10条の2]が、所沢幼稚園や松原学園の跡地など、現に使用されていない施設の使用状況についても「日常の維持管理は所管にて行なっており、適正に管理されているものと認識している(財務部長答弁)」とのことであり、これらの条文は事実上機能していないようです。また、たとえば名古屋市では3年以内に用途の廃止・変更が予定されている施設や、廃止・変更が3年以上先であっても近いうちに廃止・変更が予定されているものについて、管財課による財産調査が行われていますが、本市ではこのような調査も行っていません。だから施設跡地が有効活用されずに放置されてしまうのです。
現実には厳しい財政事情から施設の修繕・解体にかかる費用の捻出に苦慮している状況があるとは思いますが、問題を将来へ先送りするのではなく、施設廃止に係る財産調査の実施など、現下の経済状況に合わせた財産活用の仕組みを創設すべきです。
施設の解体費用は借金で賄うべきではない
この質問を通じて訴えたかったことのもう一つは、廃止施設の解体費用は借金で賄うべきではないということです。
当然のことですが、施設の解体すなわち原状回復にかかる費用は、当該施設を使用した者が負担すべきであり、将来世代への転嫁は許されません。
質問では、こうした観点から、現在、施設の修繕に用いられている施設整備基金の解体費用への活用や、解体費用をストックしておく基金の創設を提案しました。
財務部長の答弁は「新たな基金の設置ついては財源的に難しいが、施設整備基金の活用については関係部署と協議してみたい」とのことでした。
いずれにしても、施設解体にかかる費用を安易に借金で賄うことがないよう、今後とも注視していきたいと思います。
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