包括外部監査制度導入条例を可決 総務常任委員会で

20日、総務常任委員会にて3月定例会より継続審査となっていた包括外部監査制度導入のための条例が付帯決議つきの全会一致で可決されました。

定例会中の委員会審査はもちろん、閉会中の2回の審査と、既に外部監査制度を導入している八王子市への視察を経ての可決です。

可決までの間、私は委員会の決定と同様、一貫して継続審査を主張してきました。

包括外部監査制度とは、現状の監査委員監査とはべつに、市長が弁護士や公認会計士などの専門家から監査人を指定し、議会の議決を経た後、監査人が自らの判断で毎年一つ以上のテーマを設定して監査を行うというものです。一見、外部の専門家による監査を受けることは良いことではないかと思うのですが、この議案には3月定例会での委員会審査時からずっとある種の違和感を感じていました。この違和感を自分のなかで概念化するまでかなり時間がかかってしまったのですが、要は、執行部の提案した外部監査制度は「住民に開かれていない」ものとなっていることが私の抱えていた違和感の根源にあったようです。

自治体の外部監査制度には上述の包括外部監査と住民や議会、首長が特定のテーマを定めて外部に監査を要求することができる個別外部監査があります。

参考:函館市ホームページ「外部監査制度」

しかし、今回の条例案には個別外部監査の規定はありませんでした。

包括外部監査制度の導入目的は「財務執行に係る透明性の強化(議案書提案理由より)」を図り、行財政改革を推進することにあると思うのですが、この目的に対して、最も力を発揮し、その結果に最も影響を受ける、公共サービスの受益者であると同時に負担者である住民の関与や視点がないのです。法的には個別外部監査という住民参加可能な制度が準備されているにもかかわらずです。

「個別外部監査まで導入すると、これに要する事務量に対して組織が追いつかない」「全国的にも個別外部監査を行った事例は少ない」などといったことが今回、個別外部監査を導入しなかった主な理由のようですが、外部監査を導入している自治体のほとんどは包括外部監査・個別外部監査のセットあるいは個別外部監査のみの導入となっています。本市のように包括外部監査のみを導入している自治体はごく少数です。

参考:全国都市監査委員会ホームページ「外部監査制度導入都市一覧」

もちろん、弁護士や公認会計士などの専門家の力を借りなくては解決が難しい課題はあると思います。しかし、同じく住民も地域の専門家であるはずです。だから、補完性・近接性の原則や、自己決定・自己責任、直接請求という原理や制度があり、「地域のことは地域を一番よく知る住民が~」ということがいわれるのだと思うのです。

私は、財務執行の透明化の強化や行財政改革において、この住民の関与や視点を利用しないのは非常にもったいないですし、制度としては不完全という印象が否めませんでした。

ということで、委員会では村上委員と私が発議者になり、包括外部監査導入の有効性を認めつつも、「条例公布後は個別外部監査を導入すること」という付帯決議を提案し、議案とともに全会一致で可決となった次第です。

そもそも自治体の主権者は住民です。かつ、国政とは異なり、地方自治には、法制度上、多くの直接民主主義的手段が用意されているのです。専門家の力を借りることも時には必要ですが、自治体は住民のものであり、主体的な住民の行動によって変化(改革)していく。団体自治だけでなく住民自治の強化が叫ばれている現在だからこそ、この視点を大切にしたいと思うのです。

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