平成21年6月定例会の一般質問でとりあげた保育料の徴収に関する規則の条例化についてまとめておきたいと思います。
「なぜ条例化が必要か」については後ほど論じますが、その前に近隣市の状況を確認しておくと、
- 入間市――保育所保育料の徴収に関する規則
- 狭山市――保育料の徴収に関する規則
- 飯能市――保育料の徴収に関する規則
- 日高市――保育料の徴収に関する規則
- 新座市――保育料徴収条例
- 川越市――保育の実施及び保育料に関する条例
- ふじみ野市――保育料の徴収に関する規則
となっており、保育料を条例、規則のどちらで定めているのかは自治体によってまちまちなようです。
規則で定める根拠は、保育料が児童福祉法に直接根拠を有する負担金であり、税の性格に近い分担金や、公の施設の利用の対価である使用料、応益負担である手数料には該当しないからということにあるようです。一般質問時の答弁も(本市も規則で定めていますから)、当然同様のものでした。
しかし、保育料のように法律で強制徴収が認められているものは、これが分担金なのか使用料なのかなどといったことを問題にするのでなく、法律留保の原則や財政民主主義(憲法83条)の考え方を適用するのが相応しいと考えます。
また、保育料決定通知書に書かれているように、決定に不服がある場合は市長に対して異議申立てができるわけですから、決定は一種の行政処分とみることもできます。行政処分は「法律または条例に基づく公権力の行使」ですから、規則ではなく条例にその根拠を置く必要があるはずです。
さらに、保育料の基準は、国の通知「児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について」のなかにあるわけですが、通知の表題が示す通り、そもそも保育料の基準は国負担金の算定のための基準であり、三位一体改革以降、公立保育園に対する負担金は廃止されたわけですから、この基準の意義は薄らいでおり、自治体は自己責任・自己決定のもとに保育サービスの需給バランスを考慮し、住民合意という意味合いのある条例で保育料を決定していくことが求められていると考えます。
最後に、地方自治法228条の「分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない」は、「負担金だから条例じゃなくてよい」と解釈するのではなく、「市民に金銭の負担を求める場合は、条例で決める」と解釈するのが、分権時代の自治体として相応しいのではないかと思います。
平成19年に地方分権推進委員会が出した「中間的な取りまとめ」では「地方政府の確立」を「自治行政権、『自治立法権』、自治財政権を有する完全自治体を目指す取組みである」としています。
当麻市長も20年度3月定例会では、この報告から「地方政府」という文言を引用し、ご自身の施政方針を述べていました。そういう市長だからこそ、こうしたことにも意識的に取り組んでいただけたらと思います。
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