仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』

仲正昌樹『今こそアーレントを読み直す』(講談社現代新書、2009年)

ハンナ・アーレントは右にも左にも人気があるらしいです。私も人間の多様性を重視するアーレントの「複数性」という考え方が大好きで、彼女の著書はもちろん、彼女の思想を扱った概説書もいくつか読んでいるのですが、他の概説書と比べると本書はかなり変わったまとめ方をしていると思いました。

著者は、アーレントの思想を題材に、現在蔓延している「分かりやすい」言説を疑えと言います。確かに、近年、小泉元首相のワンフレーズ・ポリティクスやそれを批判する反新自由主義者の言説など、「分かりやすさ」が溢れているように思います。

「世の中そう単純ではない」ということは多分事実で、著者はそう言いたかったんだと思います。

アーレントは古代ギリシアやローマの都市国家における政治を参照しつつ、他者に言語や身振りで働きかける営み(アーレントの言葉では「活動」と言います)を人間の条件のひとつとしました。

単純で「分かりやすい」言説が溢れている現在だからこそ、こうした営みを大切にしたいものです。

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