2007年12月15日

市長関連2議案は否決 総務常任委員会で

市長関連の2議案(市長給料20%カット、多選自粛条例)が総務常任委員会で否決された。

所属委員会が異なるため、委員会での具体的審査内容はこれらから行われる委員長報告を聞くまで定かでないが、本会議での議案質疑を聞く限り、両議案について否定的にとらえている議員が多かったようである。

私としては、両議案とも社会的情勢や時の流れをとらえた提案として評価できると考えつつも、現時点では、以下の理由により否定的である。

● 市長給料20%カットを定める条例について

・ 特別職報酬等審議会条例第2条は「市長は、(中略)市長、副市長及び常勤の監査委員の給料の額に関する条例を議会に提出しようとするときは、あらかじめ、当該報酬等の額について審議会の意見を聴くものとする」と定めており、通常の手続きとして審議会の開催を要求している。しかし、今回の提案は審議会を開催せずに行っている。

・ マニフェストの実現という観点は理解できるが、今回の市長選挙では、30%カット、50%カットを掲げた候補者もいたことから、通常、20%カットが信任されたというより、市長給料が争点とならなかったか、あるいは、「先ずは隗より始めよ」という行革への意思表示が信任されたと考えるべき。

所沢市行政経営推進委員会の委員長も務める廣瀬克哉・法政大学教授も「地域社会で生活する人びとの意見は多様であり、最も多い票を得た候補者のマニフェストに、それらすべてが反映されているというわけではない。(中略)選挙の後も事態は動き、選挙の時とは事情が変わってしまったり、新しい政策課題が浮上したりするのが当たり前のことである(※)」と、首長マニフェストの蓋然性を指摘している。

給料のカット自体は行わなくてはならないとしても、20%という数字、もしくは、その根拠については、更なる熟慮が求められてよいのではないかと考えるが、これに関する説明はなされていない。

・ 人事院勧告にもとづく職員の勤勉手当(ボーナス)や扶養手当の増額等についての議案提出がすでに予定されており、行革の観点から両議案を一括して審議すべきではと考える。今回の議案提出形態では、議会において市長の行革に対する姿勢について詳細な審議をすることができず、「一方は下げ、一方は上げる」ことに対する説明責任を詳細に問うことができない。

● 多選自粛条例について

・ 「2期8年で公約の方向性を定めることができ、気力、年齢からいってちょうどよい」「首長の多選は権力の腐敗を招く」とする市長個人の信条は理解できる。しかし、提案された条例本文は、埼玉県や杉並区で成立したものとは異なり、多選がもたらす弊害について直接触れてはいない。

・ 総務省が発表した「首長の多選問題に関する調査研究会報告書」では、憲法上の問題は生じないとする一方で、「制度化する場合には、法律にその根拠を置くことが憲法上必要であり、(中略)地方自治法において規定することが適当である」と結論づけており、自治法の改正を待ってからの対応を促している。

・ 市長給料20%カットを定める条例の制定は、上述の特別職報酬等審議会条例第2条「〜ものとする」(弱い義務規定)を無視するかたちで提案がなされた。一方では、(弱い義務規定)を無視し、今回の提案で「〜努めるものとする」(努力目標)を定めても実効性が担保されないし、両議案の整合性が保てない。

・ パフォーマンスとみられないようにするためには、2期目当選の後に提案をした方がよいのではないか。

※ 自治体議会改革フォーラム編『変えなきゃ!議会「討論の広場」へのアプローチ』(生活社、2007年)p.13。

以上、私の考えの一端を書かせていただいたが、副議長という立場もあり、今後も議会の審議に結論をゆだねることになる。

投稿者 中村とおる : 2007年12月15日 23:12
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